人口を維持し地域を持続するには、所得をもたらす産業の形成と雇用機会の確保、そして両者の連関構造を築くことが基本となる。基盤産業を見極めて、「稼ぐ力」を持つ産業および雇用吸収力の高い産業を伸ばすことが地域の持続可能性に不可欠の要素となる。本稿では、山村の基盤産業の位置づけを検討するために、島根県飯南町を対象に、地域をけん引する産業の連関構造を検証した。飯南町では、農業は稼ぐ力が強いだけでなく、雇用吸収力も大きいため、地域内取引の核となる産業と捉えることができ、地域内で最も支援を注力すべき産業であることがわかった。雇用創出効果が大きい基盤産業は、男性は農業、女性は「医療・福祉」産業であるが、若年労働力不足が深刻である。農業や介護の基盤産業としての位置づけを保っていくために、「特定地域づくり事業協同組合」の活用が期待される。