Memoirs of the Faculty of Law and Literature

Memoirs of the Faculty of Law and Literature 17 1
1992-07-25 発行

対象の属性としての色の問題 : 記憶色再考

Objects and their color property : Memory color
Matsukawa, Junko
File
Thumnail a003001701h006.pdf 1.81 MB ( 限定公開 )
Description
私達はさまざまな色に囲まれて生活している。食べ物の色,洋服の色,インテリアの配色,自然の景色など,色は私達の認知的世界を鮮やかに豊かにしている。また,色は他の感覚を補助する役割を果たしている。たとえば,彩りよく調えられた食卓は味覚を助け食欲を増進させる。さらに,部屋の壁紙やカーテンをどんな色でまとめるかによって部屋の雰囲気が変わり,落ちついた穏やかな感情を引き出したり,高ぶった感情を起こさせることもある。
 人工的な彩色は対象と色との関係が任意である。しかし他方「リンゴの赤」などのように,特に自然カテゴリーでは対象の属性として色が語られることも多い。また,「ポストの赤」などのように,経験的に色と対象が結びつけられたものもある。そして,「リンゴの赤」などというとき,私達はこのような対象の色について,知識の一つとして既に知っていることになる。
 色については重い・軽い,暖かい・進出した・後退した,膨張した・収縮したなどと表現される特徴が認められる。また,「情熱的な赤」などのように色イメージが語られることも多い。このようないわゆる色彩感情がなぜみられるのかという疑問への答えは容易ではない(金子,1990)。しかし,たとえば若葉のやわらかい黄緑色は「新鮮な」「若々しい」「伸びやかな」イメージであるというときう色イメージは対象との関わりにおいて成立しているとも考えられよう。このことは言い換えると,私達は色についての既に記憶された知識や感情を,経験された対象との関係において形成しているということになる。
 このような記憶された色は,従来,記憶色と呼ばれてきた。本稿は,このような記憶色,すなわち対象の属性として記憶された色について,対象同定とストループ現象に関する研究を紹介しながらあらためて検討することを目的としたものである。
NCID
AN00108081