21世紀を目前に控え、「環境といかに調和して生きるか」という問いは、すべての人々が避けて通ることのできない緊急かつ永続的な課題となっている。そこで、生涯環境教育の基礎として特に重要である学校教育における環境教育の推進が緊要の課題となり、1991年、文部省は『環境教育指導資料』1)を刊行した。そこには、家庭科教育における環境教育の積極的な推進と、その重要性が明示されている。
また、平成6年度よりスタートした高等学校家庭科の男女必修を契機とし、男女が共に学ぷにふさわしい家庭科教育カリキュラムの総合的見直しがすすめられているが、環境教育の導入は新しい家庭科教育構築の重要な柱の一つとなっている。
筆者らは、これまで、真に豊かな人間性の育成に関わることのできる家庭科教育の実践を目指し、家庭科教育における環境教育の理論的検討、および、宍道湖・中海水域を中心とした地域の水環境の教材化とその授業研究をすすめてきた2)。本稿では、高等学校家庭科において、地域の水環境を題材とした教材開発・授業実践を行い、いくつかの成果を得たのでここに報告する