平成23年度から完全実施された学習指導要領には,思考力,判断力,表現力の育成,人間関係を築く力の育成等が急務であると示されている。本研究は,子どもたちの今日的課題を受け,算数料の授業づくりを通して,コミュニケーション能力を育成していくことを手がかりとすることから始まった。「よりよい練り上げ」には,子ども自身が考え合うことのよさや意義を感じ,よりよいものをともに求めようとする姿勢が欠かせない。数学的コミュニケーション能力の育成を主眼とした授業は,数学的な考え方のよさに気付かせ,自分の考えを相手に分かりやすく伝えるようにする。また,相手や自分のよさを個々人に気付かせ,民主的な学習協同体をめざすことを可能にする。
本研究では,数学的な考え方のよさや考え合うときに大切にしたいことを学習集団で共有することで,子どもたちの算数科の学習に対する意識や取組が変容していくことを論じた。