先に我々は,新教育理念に対して,教師が,如何なる態度を持しているかを差異的に見て来て,その地域的背景(地域差),時代的背景(年令差),性的背景(性差)等に依て,その把握の仕方、在り方に,若干の相違の存することを指摘したが,之等は現在の教育の実態,更に精しく云うならば,教師が教育の場の現況を,どの様に認識し,それにどう対処しなければならぬと考えているか。亦は処しているか。即ち,その現状認識態度・意見と根本的に繋つている。と云うのは,新教育理念に向つて進むのに現況の道程はどの様に困難であるか。またその認識の上に立つて新教育理念をどの様に生かして行くべきか,と云うことと関連なき理念は単に画餅であり、徒らに現状との背離を嘆かしめるのみの袋小路に教師を追やることになる。
現在の教師の悩みや訴えは、この理念と現実の両面に向けられた態度の中にこそ存するのであり,かかる意味から云つて教育の実態を明らかにせむが為の第二報告として,教師の「現状に対する認識」態度をここで取上げる。