島根大学論集. 教育学関係

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島根大学論集. 教育学関係 6
1956-02-21 発行

けん引点の高さ,けん引角度及びけん引量の変化が役畜の静姿勢に及ぼす影響について

Effects of Differences in the Height of Attachments and the Direction of the Traces and the Amount of
Morimasa, Sadato
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動物がものをけん引する場合には,逆に考えると,動物に対して,ものによつて一般に後下方に引かれる力,即ち垂直な力と水平な力との2つの力が同時に作用せしめられることになる。動物がけん引歩行する場合の姿勢には,この後下方へ引かれる力に対する適応と歩行に対する適応との2つの要素が含まれていると考えられる。そこで若しこの前者に対する適応の性質を分離し分析して考究することが出来れば,けん引についての基礎理論の研究上意義深いものがあるであろう。
 本研究はこの様な考え方に基いて,停立したままの動物にけん引点,けん引角度及びけん引量等を異にしたけん引をかけた場合,その姿勢にどの様な変化が現われるかを考究したものである。本実験に於ては写真上で角度と長さとの2つの要素の測定を行つたが,その写真の撮影にあたつては動物の移動によつて写真機と動物の間の距離にごくわずかの異動を生じることはまぬがれ得なかつた。この様な材料の測定値に於ては長さについてより角度についての誤差が少いと考えられるので,本報告では角度についての記載を主とし,長さについての記載を従とした。また角度変化のうち,関節角度の変化については,関節の両側に存在する骨の角度からの考察が可能であることと,与えられた紙面の関係上から機会を更めて報告致したい。
 尚,本研究は京都大学上坂章次教授の御指導の下に,加藤正信助教授並びに入谷明特別研究奨学生の御協力を戴いて実施したものであり,また、同大学の大学院の学生の方々並びに研究生の方々の御助力を戴いた。茲に深く感謝の意を表したい