リグニンは木材細胞の接合物質であり,同時に細胞壁に強さを与えるとともに,抗膨潤性を与えるが,このリグニンの果している機能に関する定量的な研究は比較的少い。本研究は,先ず木材の薄板を脱リグニンして,その木材の性質の変化を測定した。先報では,脱リグニンによる比重,及び膨張収縮につき報告したが,ここには木材の強さについて初期の実験結果を報告する。但し,この実験については,既に1944年,旅順における日本工業化学会にて発表したが,戦争のため今日まで公表の機会を失っていたものであることをお断りしておき度い。