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タイトルヨミ
コテイ シュウヘン ニ センダンリョク ガ サヨウシテイル バアイ ノ セイホウケイ ヘイバン ノ ザクツ ニ ツイテ
ファイル
言語
日本語
著者
長谷川 節
内容記述(抄録等)
 正方形平板が,その周辺に於いて,その平面内で作用する剪断力を受ける場合の弾性安定の問題は,一つの固有値問題として,理論的に興昧あるばかりでわなく,実際問題としても構造力学上重要な問題であるから,今までにも既に多くの人々によつて論じられている。この問題は偏微分方程式

⊿⊿ω-4λ(∂^2ω)/(∂ξ∂η) = 0 (⊿ = (∂^2)/(∂ξ^2) + (∂^2)/(∂η^2)

を指定された境界条件の下に解いてλなる固有値を定めれば解決されるのであるが,周辺が支持されている場合は,E. Trefftz及びA. Willers,J.S. Newell等によつて論じられており, 叉相対する二辺が固定されていて他の二辺が支持されている場含は H.J. Pollard等によつて論じられている。然し,周辺が固定されている場合を解く事は,周辺が支持されている場合にくらべて非常にむづかしい。従つて固定周辺の場合に対して今までに得られている解はいすれも近似解である。すなわち日高・大久保両氏は偏微分方程式の数値解法に関するL. Collatz の方法を用いてλの最小値を求め,友近・今井両教授及び S. TimoshenkoはRayleigh-Ritz の原理を用いてλの最小値を求めた。また井口教授は境界条件を満たすようなωの適当な表示式を用い,偏微分方程式をみたすように常数を決定するという方法を採用して,λの最小値を求めている。その他 H.J.Pollard,S.C. Redshaw,A. Kromm,藤田諸氏もまたそれぞれの最小値を求めている。ところが,これ等の諸氏の求めたλの最小値は互にかなり相違しているのであつて,果していすれが一番真値に近いかを判定することが困難である。
 本論文では,先ず前出の偏微分方程式の特解を求め,それらのあらゆる線型的な組合せによつて得られる解が境界条件を満たすようにλの最小値及諸常数を決めるという方法を採用して,問題の厳密解を求めようと試みたのであるが,挫屈した状態で平板が釣合うために剪断力が採らなければならない最小の臨界値として著者が算出したものは,数値計算の収斂状況から判断して,殆んど真値に近いもののように思われる。実際 MIT の E.Reissner 教授が友近教授宛の私信で知らして来たところによると, 最近 B. Budiansky 及び R. W. Connor が固有値λの最小値に対する上限及び下限を求めたが,著者の求めたλの最小値は実に彼等の上下両限の間にちようど挾まれてるのである。
掲載誌名
島根大学論集. 自然科学
3
開始ページ
27
終了ページ
42
ISSN
04886542
発行日
1953-03-15
NCID
AN0010814X
出版者
島根大学
出版者別表記
Shimane University
資料タイプ
紀要論文
部局
総合理工学部
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