島根大学総合理工学部紀要.シリーズA

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島根大学総合理工学部紀要.シリーズA 37
2003-12-15 発行

不均質水理地質構造が斜面安定解析に及ぼす影響

Effects of Heterogeneous Hydrogeological Structure on Slope Stability Analysis
片山 直樹
亀井 健史
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内容記述(抄録等)
To improve slope stability analysis, considering three dimensional geological structure is effective. In this paper, three dimensional saturated-unsaturated flow simulation for calculating groundwater behavior in heterogeneous condition and shear strength reduction FEM were used to study effects of heterogeneous hydrogeological structure on slope stability analysis. The stability analysis by Fellenius method was also applied to compare to the three dimensional analysis. Results show that two dimensional analysis caused much smaller safety factor than three dimensional analysis, and different safety factors were calculated for different three dimensional heterogeneous slopes.

 一般に斜面の安定性を評価するために,斜面安定解析が行われる.その解析では斜面を単純なモデルとして表現することにより,近似的な解を求めることになる.その安定解析に影響を及ぼす諸因子としては,解析手法,モデル,地盤特性,地下水量および流動特性等が挙げられる.
 実際の斜面安定解析では,解析の対象となる断面(代表断面)を決定する際には,地形・地質・土質調査および試験法等を基に地盤をモデル化している.しかしながら,一般的には代表的な二次元断面に対して多くの解析が実施されているのが現状であり,地盤全体の安定性を考えた場合,三次元的な解析が望ましいことは言うまでもない.
 三次元的に不均質な地質構造が,力学的にも水理的にも斜面安定性に影響を与えることは知られているが,三次元的な不均質構造を考慮して水理解析および安定解析を行っている報告例は極めて少ないのが現状である.
 本論文では,地質構造が地下水挙動に及ぼす影響を三次元飽和・不飽和浸透流解析により評価し,その結果を,従来行われている二次元安定解析と三次元安定解析に導入することにより,二次元および三次元安定解析結果の比較検討を行い,今後の斜面安定解析のあり方を検討している.