島大法學

島根大学法文学部
ISSN:0583-0362
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島大法學 30 3
1987-02-15 発行

社内預金の現状と問題点

Situation and problem of COMPANY CREDIT
谷 啓輔
ファイル
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内容記述(抄録等)
 昭和六一年(一九八六)は、「円」が世界最強の通貨となり、わが国が世界最大の債権国となった年である。すなわち、円の対ドルレートは、年頭で二〇二円という二〇〇円跳び台で出発したものの、夏には一時一五二円にまで高騰し、年末にはニハ○円台に戻って越年した。年間、四〇円の円高であった。
 一方、現地生産体制、輸出先国での設備投資の盛行は、国内にカネあまり現象をもたらし、相次ぐ公定歩合の引下げ(年末で三%)による預貯金レートの低下と相まって、財テクブームを生むことになる。そして、財テクの申し子ともいうべき低当証券に,まつわるトラブルが、連日の新聞を賑わした。
 こうした状況にあって、専攻は民法、とりわけ金融法の分野に傾斜しがちであり、労働法学とは遠く隔っている筆者であるが、いわばその接点にある社内預金(勤務先預金)に関する問題点を採り上げ、過去を回顧し、将来の展望を試みるのも、それなりの意味があるのではなかろうか、と思い至った。もとより、不馴れな領域に属する事項であるので、完成品を提供する自信はない。今後の研究に一つの素材ともなれば、との願いで筆をとる次第である。