島根大学論集. 社会科学

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島根大学論集. 社会科学 2
1956-02-21 発行

私法の方法論への一つの序論

Au Introduction to the Methodology of Private Law
池田 耕三
ファイル
a005002h010.pdf 1.72 MB ( 限定公開 )
内容記述(抄録等)
私法の方法論に対する疑問が私法学者以外のものによつて提出され、あるいは、それに対応して私法学者が自己の方法論に対して反省を加えはじめてから既に久しい。しかしながら今日に至ってなお、それについての帰一する結論は見出し得ない状態にあるぱかりではなく、かえつてそれは他の社会諸科学の発展にワン・ステツプづつおくれながらもそれらに相応して益々複雑化してゆく傾向をみせているようである。その傾向は、特に最近にいたり「法の解釈」をめぐっての来栖教授の一連の著作、およびそれを始点として澎湃として起つた「法の解釈の客観性」の論議において、私法の領域をふみこえて法学全般に通ずる「法の基本問題」としての性格を顕著に示してきたもののように思われる。そして、それこそ私法の方法論にとつても根底に横たわる問題として究明せられなげれぱならないのであるが、本稿は以下において、第一には社会における法の存在ということにっいて、第二にはそれを肯定した上で、法による社会の把握ということについて、あるいは法哲学、あるいは法史学、法社会学の先学の業績を辿ることによって、現代における私法のあり方について一つのスケツチを試みることにしようと思う。