島根大学論集. 人文科学

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島根大学論集. 人文科学 8
1958-02-28 発行

吾妻鏡の翻案書とその史料的意義

友田 吉之助
ファイル
a006008h007.pdf 1.84 MB ( 限定公開 )
内容記述(抄録等)
吾妻鏡の古写本には北条本・吉川本・島津本・黒川本・京都図書館本・水谷本・前田本・伏見宮本等が現存しているが、これら諸本の史料的価値を評価するためにも、また吾妻鏡の原型を推定するためにも、まずこれら諸本の系譜が明らかにされなければならないであろう。吾妻鏡の古写本については、すでに和田英松博士・八代国治博士の研究があり、とくに八代博土によつて、吾妻鏡諸本の系譜が一応うち立てられている。しかしながら、諸本の中で、史料としてもつとも重要な地位を占める北条本と吉川本との関係についての博士の見解には、疑義が残されているのではなかろうか。博士は吉川本と北条本との内容を比較し、吉川本が稿本であつて、北条本は修正本であると結論されたのであるが、はたして吉川本は稿本であろうか。私は吾妻鏡を資料とした翻案書の性質を検討することによつて、吾妻鏡諸本の関係、とくに、吉川本と北条本との関係を考察してみたいと思う。
NCID
AN00108183