前稿では,沖永良部島の民俗行事のうち農耕儀礼について,その分布と変遷とを考察した。本稿では,同島の民俗行事のうちもう1本の大きな柱である祖霊祭をとりあげて,同様の分析を試みる。また,民俗行事分布の地域的パターンについても考えてみたい。
用いるデータは前稿と同じく,主として1977(昭和52)年の6月と8月に,島内27の集落で筆者が面接調査を行って得たものである。沖永良部島の地勢,歴史などについては,前稿の記載を参照していただきたいが,ここには集落の分布(図1)と集落別人口(表1)だけを再掲しておく。