・・・she was a perfect woman.
Sterneがwidow Wadmanを評して上のように述べた時,「完全な婦人」像をウォドマンの後家の中に見い出していたのであろうか。家父長Walterの支配するShandy家において,あるいはその一家を取り巻く人達の間で,女性はどのような役割を果たしているのであろうか。「完全な婦人」といえるであろうか。女性を主人公とする小説が数多く出版された18世紀にあって多スターンが理想の女性像に無関心であったはずはない。Lawrence Stoneはその大著The Family,Sex and Marriage in England 1500-1800の中で16,7世紀の女性の理想像を次のように説明している。
The ideal woman in the sixteenth and seventeenth centuries was weak,submissive charitable,virtuous and modest・・
このような少し前の時代の理想像をスターンはどのように考えているかを、女性の主要登場人物であるMrs.Shandy、ウォドマンの二人に焦点を当てながら検討してみたい。