島根大学社会福祉論集

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島根大学社会福祉論集 9 山﨑亮教授、杉崎千洋教授 退職記念号
2024-03-16 発行

支援を要する子育て世帯のニーズと地域の支援団体が果たす役割

Needs of Child-rearing Households in Need and the Role of Voluntary Group
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内容記述(抄録等)
 2020年3月以降のコロナ禍とそれに続く物価高騰において、子育て世帯は経済的に厳しい状況に置かれている。2014年に子どもの貧困対策推進法が施行され、子どもの貧困という政策課題はよく知られるようになったが、10年を経ても経済的な支援が大幅に拡充されているとは言い難い。子育て世帯には現在どのような支援が必要とされているのだろうか。本研究では、地域で子育て支援を担う民間のフードバンクが行った利用者アンケートを取り上げ、生活の中での困りごとや、必要な支援を尋ねた自由記述欄の回答の分析を行う。
 本研究の目的は、コロナ禍を経験した子育て世帯の抱える困りごとや課題がどういったものなのか、そして地域社会のボランタリー団体にはどういった支援の提供が可能なのかを考察することである。アンケートの自由記述分析には、テキストマイニングの分析ソフトKR-Coderを用いて、中学生以上の子どもがいる世帯とそうでない世帯の回答の特徴語の抽出および対応分析を行った。結果として、中学生以上の子どもがいる世帯の方が「不安」「勉強」といった語が特徴的に使われており、学習支援のニーズや将来に対する不安は子どもが高年齢であるほど高いという結果が得られた。高校進学、学校にかかる費用への不安などがあり、子どもが中学生以上になると必要とされる支援や不安感も変化していることが分かった。民間支援囲体にできる学習支援や相談休制のあり方を考察するとともに、政策提言の必要性を論じる。
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