2024年4月の困難女性支援法の施行により、性産業従事経験のある女性たちの支援が展開していくことが期待される。婦人保護施設は知的障害のある女性が多く利用しているとされており、性産業従事を経た知的障害のある女性に対してどのようなソーシャルワークを行うのかが課題となる。知的障害のある女性はジェンダーと障害という、少なくとも2つの抑圧要素を有しており、知的障害のある女性とない女性では、性産業従事の経験は質的にも異なったものであると考えられる。本研究では、性産業従事を経た知的障害のある女性に対する理解と介入に、ジェンダーと障害の交差性からくる特有の経験を重視し、当事者の声を原動力にして社会変革を起こす反抑圧アプローチが有効であることを述べる。