社会システム論集 : 島根大学法文学部紀要社会システム学科編

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社会システム論集 : 島根大学法文学部紀要社会システム学科編 6
2001-12-25 発行

視覚的探索課題における意味的・視覚的文脈効果

Conceptual versus Perceptnal Effcts in Visual Search Task
松川 順子
ファイル
a010006h004.pdf 1.88 MB ( 限定公開 )
内容記述(抄録等)
日常の視覚的場面でいろいろな対象を見るということは,その対象を他のさまざまな対象から区別してそれと認めることである。複雑な視覚的事象の中からどのようにして必要な対象を見つけだすのかという問題は,探していても見つからないという失敗行動も含めて,私たちの日常行動全般に関わっている。視覚的探索課題は,基本的にはこうしたある対象を同定して検出する課題である。本稿では,主として,この視覚的探索に私たちの知識が文脈効果としてどのように影響するかについて検討する。探し出し認めるべき同定対象を,以下ではターゲットと呼び,ターゲットの周囲に存在する他の刺激対象を妨害項目とする。ターゲットを探し出そうとする視覚的場面は,視覚的探索課題の状況であるといえる。たとえば,部屋にある鍵を探し出す,本棚から必要な本を探し出す,人混みから友人を探し出すなど,日常生活の中に多くの探索行動は含まれている。鍵,本,友人はターゲットであり,部屋や本棚にあるさまざまな物やその他の本,人混みがここでは妨害項目となる。ターゲット検出には,ターゲットが妨害項目とどのような関係にあるかが影響するであろう。この関係は視覚的探索課題における意味的・視覚的文脈とみることができる。本稿では,先ず視覚的探索課題と注意過程の関係について述べ,次いで意味的・視覚的文脈効果について考える。さらに,この文脈効果について,線画と単語を用いた視覚的探索課題によって検討した実験結果を紹介する。