島根県は過疎高齢化の先進地帯である。この問題はさまざまな側面から生じているが、
若者の県外流出も重要なひとつの要因となっている。本研究は、特に進学という形で流出してい
く若者のありようを、高校3 年生の生徒とその保護者の両方に尋ねた質問紙調査によるデータ
から明らかにしようという試みである。
高校生の都会に対する認知や人生観、親が子の幸せのために重視する項目などが、ふるさとに
戻らないという高校生本人の予測にどのように繋がっているのかについての一定の知見を得、ま
た地方進学層の家族で紡ぐ物語がどのようなものであるのかの示唆を得ることができた。