「新しい農村政策の在り方に関する検討会1」が2021年6月に発表した「地方への人の流れを加速化させ持続的低密度社会を実現するための新しい農村政策の構築(中間とりまとめ)」では、農業の生産基盤強化及び農業経営の底上げを目指して、「農村の地域資源を活用した農山漁村発イノベーション」や「人口減少社会における長期的な土地利用の在り方のための土地利用の推進」などの目標が掲げられている。日本の農村再生のためには、所得、雇用、土地利用などの基盤となる農業の復活が不可欠であるが、2020年農林業センサスではこれまで以上に厳しい日本農業の姿が報告されている2。しかし、2015年農林業センス結果では、日本農業の全体的な縮小傾向が進行する中でも、集落営農や株式会社の農業参入などの新しい動きも見られ、農業構造再編の兆しがあった。2020年の結果では、2015年の結果とどのような違いがみられるのだろうか。
本稿では、2005年から2020年までの農林業センサス3のデータを基に、農業の3大指標(農業経営体、農地、農業労働力)の推移に焦点を当て、近年の日本農業の動向について概括的に分析する。特に、2015年センサスと2020年センサスの比較を通して、2020年段階の農業構造を浮き彫りにしたい。