アメリカ合衆国連邦準備制度理事会が刊行する「調査月報」,"Federal Reserve Bulletin"は,毎年7月号(月違いの場合あり)で,全米商業銀行の前年1年問の収益,資産負債構成の動向分折を詳細におこなっている。
本稿で紹介するのは,1993年7月号に掲載された1992年における米銀の動向分析であるが,ここで1980年代後半以降,とりわけ1989年の「金融不況」以降の,米銀が極度の苦境に陥った後の「業績回復過程」を詳しく分析している。筆者にとって,1991年以降の米銀の「復活」をどの様に評価するかは,今後の米銀の動向も含め多角的に検討すべき課題と考えるが,この資料は貴重かつ大いに示唆に富むものであるので,その内容の大枠をここに紹介する次第である。
なお,1980年代の米銀の動向については,金田重喜編著『苦悩するアメリカ産業』(1993年,創風社刊),第8章「アメリカ銀行業の構造変化」(筆者担当執筆)を参照されたい。