救貧法の伝統をもとに州や地方政府の責任で実施されてきたアメリカの公的貧困救済は,ニューディール期に連邦政府が国民への責任として提供する社会保障の一部(公的扶助)と位置づけなおされる。この過程でAPWA の果たした役割は,補助金行政を基本とする連邦政府の公的扶助行政を円滑に進めるための潤滑油的役割であったと言える。具体的には,①連邦政府と州政府とのリエゾンの役割を果たすこと,②連邦補助金の支給基準を達成するための州や地方政府の公的福祉法制度作成を支援すること,③州や地方政府の公的福祉担当者のレベルアップのために採用基準を整備したり,研修や講習を実施したりすること,④全国的な情報提供のために広報活動や出版活動を行うことであった。