インダクタンスを含む電流回路を開く場合,誘導によって回路に高い電圧が誘起する現象は,けい光燈の点灯や自動車の点火機構など身近な機器にいろいろ活用されている。しかしながら,回路に誘起する電圧を予測することは,対象がアークを伴う開閉という非線形現象であるため取扱いはそれほど簡単ではないように考えられる。ただし,アーク電圧を一定とした理想的な状態での解析は比較的容易であると考えられるが,一般にはアーク電圧を終始一定であると見なすことは出来ない。ここでは一般的な場合の解析の足がかりとして,手許にある小型のバネ式手動スイッチにより,ほとんどインダクタンスを含まない回路を開く場合の電気的動特性について測定した結果を報告する。