あらゆる分野においてコンピュータの利用が常識化しつつある現在において,教育分野においてもコンピュータの利用はCAIのみならず,学校事務の機械化などによって日常化しつつあるといえる。従ってこれからの教員養成においては,コンピュータに関する情報処理教育の必要性が増大してくると予想できる。教員養成大学における情報処理教育は,将来の情報処理技術の専門家をを養成するのが目的ではないので,情報処理教育として適当なのはコンピュータに関する基礎的知識の習得と,プログラミング言語による情報処理実習といったところであると考えられる。このうち後者のプログラミング言語による実習は,実際にコンピュータを使用するということで,単なる言語の知識の習得にとどまらず,体験的な教育効果があるといえる。またこうした情報処理実習における学生の利用状況を調査することは,授業の理解度の確認などの教育的効果の評価に不可欠といえるものである。しかし,実際にはこうした個々の学生の利用状況を把握することは容易ではない。情報処理実習として,大学にある計算センターのシステムを利用する場合,多人数の学生の利用頻度,実行内容等の統計情報を詳細に採取するにはセンター側の協力がかなり必要となる。また,最近の実習の形態としては,以前のようなカード入力によるバッチ形式からTSS会話処理形式に移行してきているので,JCL(Job Control Language)による一定の処理しか行なわないバッチ処理に比較して,コンピュータと対話しながら処理を行なうTSS会話処理ではある程度の慣れを必要とし,さらに会話処理によるため,統計情報の採取もバッチ処理に比較すると複雑になる。従ってTSS会話処理による実習を行なうには,事前に端末操作を習得させること,及び実習後の学生の使用状況の把握が問題となってくる。
今回試作したコマンドプロシジャはこうしたTSS会話処理(以下TSSと略記)実習上の問題点をある程度解決すること目的としたものである。即ち,基本的なTSS操作が簡単な応答で実行でき,利用状況の統計もとれる機能を有している。またこのコマンドプロシジャは利用者が自由に作成登録可能なので,センターのシステムのオウンコーディングの変更等の,センター側での作業はほとんど必要としない。