島根大学教育学部紀要. 自然科学

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島根大学教育学部紀要. 自然科学 17
1983-12-25 発行

島根県中学校の砲丸投選手に関する研究(I) : 体力面の実態について

A Study on the Shot Putters in Junior High School of Shimane Prefecture : On the Realities of Physical Fitness
斎藤 重徳
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内容記述(抄録等)
 近年,島根県中学校の陸上競技界においては,砲丸投の成績が低迷を続けている。かつては,出雲三中の花田祥之が昭和45年に17m52というすばらしい日本新記録を樹立し,放送陸上でも全国1位に輝く成績を残している。女子においても,昭和48年の放送陸上に浜田四中の松下雪枝が13m68で全国2位,翌年の同大会では14m48で全国1位となり,53年には旭中の大場ミワコが同大会において13m37で1位と活躍した。しかし,その後は目立った選手が出現していない。トラック種目や跳躍種目では,全国レベルに達して活躍する選手が継続的に出現しているのに比べ,砲丸投においてはこのように断片的にしか出現していない。トラック種目や跳躍種目には数種目の競技種目があるのに対し,投てき種目では砲丸投の1種目だけが通常行われる競技種目という,数のうえでのハンディキャップもある。しかしながら,トラックや跳躍種目は記録がたびたび更新される傾向にあるが,砲丸投は記録も低迷し,全国レベルに達する選手がなかなか出現していないのが実情である。
 陸上競技の種目の中でも,砲丸投は地味な種目といってよいだろう。選手の中には,陸上競技は好きなのだが走ったり跳んだりすることが不得手で仕方なく砲丸投をというケースもあり,選手もなかなか興味を示さないことが多いともいわれている。また競技会などには,からだが大きいから,力があるから,あるいはボール投が強いからといった理由で砲丸投選手を急造することもよくあるケースときく。島根県の中学の砲丸投が低迷している理由はいろいろと考えられるが,何はともあれ,簡単に急造された砲丸投選手が県内では通用しているところに,砲丸投レベルの低さがうかがえる。
 今後,島根県におけるジュニアの砲丸投選手を育てるためには,先ず低迷している根源を明らかにする必要がある。いろいろと考えられる原因の中で,今回は選手の体格面,体力面等の実態を把握することを中心に,問題解決の糸口を見い出そうと試みたのである。