光を通す等間隔なp本のスリット群と,これにつづく光を通さないようにしたp'本のスリット群が交互に並ぶ透過型回折格子によるフラウンホーファー回折像について考察した。
この回折像の輝線は,p本のスリット一群が起こす回折・干渉光の強度分布のうち,その主極大すなわち通常の回折格子により見られる輝線の間をp+p'等分した位置の強度のみが残る。このことは,p本のスリットが構成する各群の対応する位置にあるスリットどうしにより起こる干渉に起因する。
このことを具体的に示すために,フィルムに写し込んだ格子を用いて起した干渉・回折像の写真撮影を行うとともに,その強度分布を数値計算した。
この内容は,光の干渉・回折に関する物理学の学生実験に新しい課題を提供し,これに取り組む学生に問題の新鮮さ,ひいてはその解決への意欲を与え,知的な思考の練成・涵養を行う意図をもつ。