同じ標題のもとで,ぺ一ターの文体の理想を彼の「スタイル論」(戯ツZ6.1888)によって考察し,さらに,「ルネッサンス」(The Renaissance, 1873)を考察することによってペイターの用語の詩的性格を明らかにしてきた。本稿では,文体の単位を語からセンテンス,パラグラフにひろげて,ペイターの文体の特色を考えてみることにした。そして考察の方法として諸家のペイター文体評の比較検討を採ることにした。ペイターを論ずる学者,批評家で彼の文体に言及しない者はなく,そうしたさまざまの立場から批評の照明をあてあられることによって,ペイターの文体のもつ長所,短所は既に十分明らかにされていると思え,残された問題は,そうした数多い文体評の立場を明らかにして客観的なペイター文体像を得ることだと考えられたからである。