島根大学教育学部紀要. 人文・社会科学

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島根大学教育学部紀要. 人文・社会科学 26
1992-12-25 発行

トルファン墓葬出土文書における量詞の考察

A Study of Classifier (Liangci) in Documents Unearthed from Turfan Ancient Tombs
三保 忠夫
ファイル
内容記述(抄録等)
 吐魯番(Turfan)は、中国新疆維吾爾自治区の中央部、烏魯木斉の南東約一五〇キロメートル地点にある東トルキスタン有数の都市である。天山南路(西域北道)の中ほど、東部天山南麓に立置するが、ここはまた、塔里木盆地と准(口へんに葛)爾盆地とを結ぶ公道の起点でもあり、かつては、シルクロードに沿う交通の要地として栄えた。吐魯番盆地には、海抜下二八○メートル余のところもあり、地理学上でも著名な土地である。
 二十世紀後半に入り、この地の古墓より、四世紀から七世紀にかけての多量の古文書が発掘され、「トルファン出土文書」として注目されている。本稿は、そうした古文書にみえる「量詞」を収集、検討し、これをもって日本語における助数詞研究の一助としようとするものである。
 本稿は、別稿「『吐魯番出土文書』における量詞について」の姉妹篇に相当する。この小稿は、『吐魯番出土文書』(九冊)を調査対象(資料)とし、そこにみえる量詞のそれぞれについて整理、検討したものである。紙数の制約上、そこでは文書の出土情況、その内容や記載方法、就中、随葬衣物疏の実情、また、量詞の使用情況等の詳細については言及できなかった。本稿では、こうした部分を補いたく、文書個々について検討していきたい。但し、ここに取り上げる文書は、右『吐魯番出土文書』所収のものにこだわらない。重複する文書もあるが、むしろ、本稿では、右とは別途に提出された個別的な報告書を基として、そうした文書のありようそのもの、あるいは、その文書における量詞の使用情況などについて検討していくこととする。