島根大学教育学部紀要. 人文・社会科学

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島根大学教育学部紀要. 人文・社会科学 15
1981-12-25 発行

三段跳の学習における一研究

A Study on the Learning of Triple Jump
斎藤 重徳
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内容記述(抄録等)
 三段跳は,走幅跳と同じように水平方向の跳躍距離を競う種目であり,基本となる力学的諸原理も同じである。これらは,助走によって得られた水平方向の力(運動量)を最大限に利用し,より多くの水平方向への距離を跳ぶ競技で,基礎体力や運動能力のほかに踏み切りでの動きが重要なポイントである。三段跳が走幅跳と大きく異なるところは、走幅跳が1回の踏み切り(跳躍)から成り立っているのに対し,三段跳にはホップ,ステップ、ジャンプの3つの局面の踏み切り(跳躍)があることである。
 三段跳は,跳躍種目の中でも自然発生的な源をもっている種目(走幅跳,走高跳,棒高跳)とは異なり,発生に特異な性格をもっている。記録によれば,古くからケルト人らによってお祭りなどで行われていたが,近代競技としての三段跳は,アイルランドやスコットランドの競技に源を発し,ホップを2度つづけるホップ−ホップ−ジャンプという片足跳びであった。一方別の跳躍方法としては,ステップ−ステップ−ジャンプの方法を用いるドイツ式三段跳もあったようである。その後,今世紀にはいる直前に現行の跳躍方法に統一がなされたようである。
 このように,三段跳の跳躍方法は歴史的にも変遷を繰り返し,ホップ−ステップ−ジャンプといった跳躍方法は,他人のまねや教えられることで初めて経験するといった特異なものである。
 それでは,三段跳はどのような性格をもっているのだろうか。一般的に,三段跳は筋力が,走幅跳にはスピードがポイントである,といわれている。三段跳では3回の踏み切り(跳躍)が行われ,その中でもホップとステップの跳躍のあとは片足で着地し,それぞれの着地からステップとジャンプの踏み切りが行われる。このため三段跳は,この着地の局面において自分の体重を十分支えられるパワーを必要とすると考えられる。
 そこで本研究では,三段跳の未経験者に学習を行い,その学習の結果と三段跳の体力の機能的な指標として考えられる各種のパーフォーマンス・テストの結果をもとに,三段跳に必要な運動機能的な要素を究明しようとした。