水戸彰考館蔵「遊行二十四代不外上人修行記」をここに上梓する。原本は和綴七十四丁、「二十四祖御修行記完」とある。時衆にも一般にも稀覯の書であり、室町期の著述で未だ世に公にされないものが今日なおあることは、寧ろ驚異でさえある。巻尾に一海上人跋があり、文政四年智阿が筆写したもの、その原本は二十五代仏天上人自筆のものであることが断ってある。
不外上人、もと臨阿其阿、永正十五年近江上坂乗台寺にて賦算、永正十七年豊州西教寺に独住、大永六年五月十七日入滅、六十七歳。不外上人は十六代南要上人資、十九代二十代二十二代上人同門であり、二十代資仏天不去上人に嗣法されている。
文意時に難渋、まま字体明瞭を欠く。