この数年来、学校教育の現場で子どもの学びをひらき、人間関係や人間育成の方法としても注目を集め、その必要性が議論され導入されるようになった教育方法としての「学び合い」。その「学び合い」は同じような理由から、社会教育・生涯学習の場では、すでに平成に入る前後から広範にそして活発に展開され、今日でも重要視されている。本論では、学校教育においてその学び合いがなぜ生活科や総合的学習の時間の展開にもかかわらず推進されることなく、むしろ排除されて一人学びに集約化されたことと、そのことが今日まで継続する教育課題や教育問題の要因ともなったことをまず明らかにする。次に、そのことを踏まえながら、今日の学校教育の抱える問題解決には、長年社会教育が培ってきた教育方法上の取り組みに学ぶ必要があること、そのためには、二つの間の教育方法上の対話を通してその相違を超えた類似性や相関性の中から、子どもの学びや学び合いを効果的に運営していく要素や要因を選び出し、それらを困難な状況にある学校教育全体の活性化と充実に資する共同の探究が求められていることを示唆する。