島根大学教育学部紀要. 教育科学

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島根大学教育学部紀要. 教育科学 7
1973-12-25 発行

学校舞踊の創作に関する諸問題(IV)

Problems in the Creation of the School Dance(IV)
碓井 エイ
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内容記述(抄録等)
 研究発表を前提として創作される舞踊は,少くても2・3ケ月の創作期間が必要である。また舞踊素材を温める期間をも考慮に入れる場合は4・5ケ月から1年近くの長期間をかけて,練りに練りあげた作品を発表するのが舞踊創作活動の実情である。創作者にとっては労作の多い過程であるだけに作品に対する愛着は深い。そしてこれらの作品は一回限りの鑑賞で終了するのが普通である。この一回の鑑賞で作品の佳さを理解するには或程度の鑑賞の技術が必要であるが,一般的には安易な舞踊美の追求に終る場合が多いのではないかと考えている。また種々の視点をもつ一般鑑賞者を満足させる作品創作は現段階ではまだまだ困難であると言わざるを得ないが,次々佳い作品を創作するためには創作発表後の再検討を行って創作法を確かな内容にしていかなければならない。
 教育のなかで行われる舞踊創作の場合は,題材・創作内容のとらえかた・人員数・作品の所要時間・創作期間の長短・身体性・創作能力・創作する人員の協力関係・創作活動の経験・舞台空間の理解度・伴秦音楽を主とする音響効果の理解度・適切な衣裳選択などが良否にかかわる条件となる。これ等の諸条件が満たされない要因の多い作品は「何かを表現しているのは判るが,何を表現しているのか良く判らない」と批判される例もでてくる。勿論作品鑑賞に際しては,製作意図を明示したり作品内容に懇切な説明も加えて理解を援けるなどの手続きがとられた上での鑑賞が多いので,極端な批判例は少なくなっている。
 今回は鑑賞を意図して練りあげられた創作作品に対して表現技術構造要因を分析して,舞台空間のとり扱い方・創作内容を高める人員構成と題材のとらえかた・劇性豊かな作品内容のとらえかた・感情表出における方向性などに関連する問題点について考察を加える