從來、下級學校から上級學校を通じて、學狡の評価に、物的、人的.両方面にわたる地域差あるいは學校差ということが一般に問題にされ、終戦後新教育の進展とともに、入學者選抜方法の改善、學區制の實施及び其の他の行政的方策によつて該間題の解決が試みられては來たが、未だ種々な問題が存在して、これの満足な解消を見るための抜本的な對策が今日漸く要望されているようである。こうした問題は、慎重に検討し、徹底的に解決しなければならない我國教育上の重大な一課題であると思われる。ごの課題を解く基盤となる諸學狡の客観的な實態の究明は、然しながら、諸種の事情で充分に果たされていなかつたうらみがあるが、今後公正な實證的な研究の結果によつて、深い認識に基づく適切な解決策がとられる事が肝要であろう。
ごの種の問題は、客観的な事實の上に立つて各方面から科學的に検討されなければならないが、私は、ごこでは、考察の對象を舊制諸學校に局限し、特に昭和二十三年度において官立高等專門學校志願者に實施された進學適性検査の結果を中心として、そのテスト成績からみた所の、いわゆる地域差及び學校差に関する問題を検討してみたい。