The effects of a newly developed hair restorer Spelagen 707 on hair growth induction were compared with those of several commercially available ones. Hair regrowth in hair
-clipped back skin of C3H/HeJ mice with telogen (resting phase) hair follicles was stimulated by daily topical application of the hair restorers. In the mice treated with Spelagen 707, initiation of hair growth was strikingly accelerated and more expanded area of the hair-clipped skin was covered with hair to the extent that was comparable to the effects of 3% Minoxidil solution. Hair production was also observed in the mice recieved with four other hair restorers during the experimental period of 5 weeks, but their effects were less than Spelagen 707 and 3% Minoxidil. No sign of new hair growth was seen in the mice treated with additional three restorers as well as negative control ones which were recieved with 30% ethanol. Although the skin of mice smeared with Spelagen 707 showed the sign of inflammation starting around 5 days from the first application, it was settled down in subsequent 2 weeks and showed a rapid induction of hair regrowth. These results suggest that inflammation-associated immune responses or certain chemokines could be involved in hair growth initiation induced by Spelagen 707.
男性型脱毛は,遺伝的素因のある男性において男性ホルモン依存的に頭頂部および前頭部の毛包が萎縮する現象である.毛周期の進行にともない,毛包が段階的にミニチュア化するため,毛包から伸長する毛髪が徐々に細く短くなる.女性でもほぼ同様の機序によって頭頂部が薄毛化することがあり,女性型脱毛と呼ばれてきたが,両者を合わせて壮年性脱毛と呼ばれるようになってきた.一方,円形脱毛症は,典型的にはコイン大の円形の脱毛が頭部をはじめ全身の有毛部に生じるものである.主に自己免疫疾患によって生ずると考えられており,ときには脱毛部が不定形に広範囲に広がったり,全く毛がなくなってしまうこともある.このほかにも,抗癌剤等の服用にともなう薬剤性脱毛や粃糠性脱毛,瘢痕性脱毛など様々な脱毛性毛髪疾患が知られている.一般に,壮年性脱毛は個人の身体的特性の一部と考えられており,病気とはみなされていないが,その他の脱毛症も含め,命に関わらない疾患であるためか,これまで治療法の開発はさほど進んでいなかった.近年,高血圧の治療薬から転用されたミノキシディル(Minoxidil)と,前立腺治療薬として開発されたフィナステライド(Finasteride)が,発毛剤として米国食品医薬品局から承認された.壮年性脱毛の男性に適用した場合,2% または3% ミノキシディルの塗布では1年後に約8割の被験者で何らかの効果が見られ,1mg/ml フィナステライドの服用では2年後に毛髪数が増加したか現状維持した被験者の割合が83% であった.両者の発毛効果は明らかなものの,薬剤の使用を停止すると再び薄毛化することや,重篤な円形脱毛症には効果がなかったり,副作用が見られたりするこから,新しい発毛剤の開発が待たれる.スペラゲン707は,漢方薬のエタノール抽出液を主体として大韓民国の韓独化粧品(Handock cosmetics Co., Ltd.)が開発した新規発毛剤(HEM−13/HDC5)の処方を改変したもので,カンゾウ,センキュウ,チョウセンニンジン,ゴマ,トウキ,セージの6種類の植物成分を含んでいる.本研究では,スペラゲン707の休止期毛包に対する発毛促進効果を調べ,市販の発毛剤/育毛剤との比較を行った.発毛剤/育毛剤の効果を調べる第一段階の方法としてマウステストが広く行われている.これはマウスの毛周期が同調して進行するいわゆるウェーブ型であることを利用するもので,休止期毛包を成長期に移行させる効果の強弱を指標に発毛能を調べるものである.C3H 系統のマウスの場合,生後6~8週で2回目の休止期に入り,これが8~10週間持続する.C3H 系統は茶褐色の体毛を持つため,成長期に入って毛が伸長し始めてメラニン合成が再開されるに従い,皮膚がピンク色から灰色,黒色へと変化する.この体色変化を指標に,休止期から成長期の移行時期を知ることができる.