The leadership of Takeo Miyoshi who had been a reclamation group leader was studied in this paper. It was concluded here that his leadership was autcratic and he was a charismatic leader.
第二次世界大戦中は第八次樺林栗熊村開拓団長として異国の地で開拓団を率い,敗戦を経て帰国してからは大山山麓で香取開拓団の団長を務めた三好武男というリーダーがいる.彼は,28歳で満州開拓団の団長となり,香取村では80歳で引退するまで農業協同組合の組合長を務めた.現役を引退した今も村の成員からは「団長」という名で呼ばれ慕われ続けている.これほど長期にわたって成員からリーダーとして支持され慕われ続けてきたのはなぜであろうか.
三好武男とはどのようなリーダーであったのか,これを探ることが本稿のおもな課題である. まず彼がどのような人間であったのかを探るため,そのパーソナリティーを考察する.次いでそのリーダーシップ行動がどのようなものであったのか,戦前と戦後にわけて考察する.とくにそのリーダーシップの型に注目する.
リーターシップという概念については,多くの研究者がさまざまな定義を行っているが,それらを概観すると,およそ二つの学問的立場があるように思われる.一つはリーダーシップを集団的機能ととらえる立場である.例えば,大橋幸は「リーダーシップとは集団的機能の一つ」であり「複数の個人を一定の目標達成に一致して貢献せしめる作用を指す」としている.リーダーシップを集団的機能ととらえる大橋の定義の根底には,適切な教育や訓練を施すことで集団内の誰もがリーダーシップを行使しうるという考えが横たわっている.
もう一つは,リーダーシップを個人的機能ととらえ,パーソナリティー特性とリーダーシップの間には密接な関係があるとする立場である.例えば,古川久敬は,リーダーシップとは「集団目標の達成に向けてなされる集団の諸活動に影響を与える過程」であり「集団において高い地位についている個人が,地位の低い個人に対して及ぼす影響力」であるとしている.本稿は,この少数派の意見にくみする.その理由については,すでに別稿で詳細に述べたので省略する.