島根大学生物資源科学部研究報告

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島根大学生物資源科学部研究報告 3
1998-12-20 発行

都市公園内に保存された常緑広葉樹林のリターフォール量

Amount of litter fall in a evergreen broadleaf forest reserved in the Rakuzan park
片桐 成夫
吉村 徳彦
長山 泰秀
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内容記述(抄録等)
The amount of litter fall in a evergreen broadleaf forest was measured for three years in the Rakuzan park, Matsue city. The annual total litter fall ranged 6.3~7.9t・ha^<-1>・yr^<-1> for three years. The amount of leaf litter accounted to 3.6~3.9t・ha^<-1>・yr^<-1> and occupied 49~57% of the total litter. Leaf litter showed a clear seasonal change that the peak of amount occurred in April to May. The leaf litter of Castanopsis cuspidata reflecting the rate of basal area at breast height in this stand.

 日本全国の都市には保存・保護管理された小面積の森林が数多く存在する。松江市においても城山公園,楽山公園などに小面積の常緑広葉樹林が残っており,その中には散策路がもうけられ,市民に利用されている。楽山公園の常緑広葉樹林は,以前はアカマツが混交していたが,マツクイムシ被害を受け枯死したために,伐採され,今ではスダジイが優占する森林となっている。この森林の構造,生産力等を把握することは保護・管理を考える上でも重要である。
 一方,落葉広葉樹林の物質循環に関する研究は,これまでに数多く行われているが,常緑広葉樹林の物質循環に関する研究は意外と少ない(堤ら,1978,川那辺ら,1980)。リターフォール量に関しては,Brayら(1964)がまとめた段階では亜熱帯から暖温帯の常緑広葉樹林のデータが欠落する状態であったが,最近になってスダジイ林(森ら,1992),コジイ壮齢林(佐藤ら,1993b),宮崎県綾のイスノキ,タブノキ,カシ類の優占する常緑広葉樹林(佐藤ら,1993.1995),アラカシ,シラカシ混交林(竹内,1993),ウバメガシ林(大久保,1995),横浜の環境保全林(長尾ら,1996)など常緑広葉林での測定が行われるようになってきた。しかし,都市公園内の森林は山地の森林とは条件が異なり,その物質循環を明らかにしておくことは重要である。そこで,楽山公園内の常緑広葉樹林の種組成,林分構造を明らかにするとともにリターフォール量について検討を行った。