タイトルヨミ | チュウゴク サンチ ノ シンリン カイハツ ニツイテ ノウミン リンギョウ オ タイショウ トシテ
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日本語以外のタイトル | Farm Forestry Development on the Mountain Villages in Chugoku-district
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ファイル | |
言語 |
日本語
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著者 |
中尾 鉱
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内容記述(抄録等) | 中国山地は,わが国における代表的な薪炭林分布地域である.中国山地の町村は,その大部分が,かって薪炭生産の黄金時代を経過した地域であるため,そこに存在する森林は,短伐期の薪炭林施業を繰り返えした結果として,低質広葉樹のシェアが,面積的にも蓄積的にもきわめて大きいのである.
中国山地の林野総面積は130万ha程度と推定されるが,県別に見れば島根,広島両県に属する面積が大き く,島根県側に約44万ha,広島県側に約33万ha,合計77万haの林野が背中を合わせるように,両県にまたがって分布している.これは,中国山地の林野総面積の60%に当たるものである. 森林開発のレベルをどのような指標で表わすかについては,種々の見解があるので,判断は必ずしも容易ではないが,人工林率・森林蓄積・林道密度などによって判断すれば,中国山地は,森林の低開発地域である.たとえば,人工林率を見ると,島根山地(中国山地のうち,島根県に属する地域)の民有林が16.6%,広島山地(中国山地のうち,広島県に属する地域)の民有林は21%(私有林だけ取り出せば,島根が11.6%,広島が17%)で私有林の全国平均33.9%に対比して,人工林造成の立ちおくれがきわ立っている. 人工林のha当たり蓄積量は,島根山地が44㎡,広島山地が42㎡で,全国平均75㎡の60%程度にすぎず,先進林業地である吉野川流域(173㎡),十津川流域(137㎡)などの平均蓄積にくらべて,きわめて大きなへだたりがある. 林道の総延長は昭和42年時点で,島根山地が600km,広島山地が1,200kmで,林道密度は前者が1.5m,後者が3.7mにすぎない.全国民有林の平均密度は5mであるが,合理的な森林経営の目標としては10~13mが必要とされているから,中国山地は林道に関しても低開発地域である. 素材生産量は中国山地の分がつまぴらかでないので,島根県全体の数字を見ると,年間生産量はおよそ100万㎡である.その内容は,スギ・ヒノキ・マツなどの針葉樹が6割に対し,広葉樹が4割という構成を示している.先進林業地吉野を含む奈良県の素材生産量は,島根と同じ100万㎡であるが,その内容は,95%までが建築材の生産である点を見れば,素材生産の質的相違というものが判然としよう. |
掲載誌名 |
島根大学農学部研究報告
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巻 | 3
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開始ページ | 116
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終了ページ | 121
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ISSN | 0370940X
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発行日 | 1969-12-15
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NCID | AN00108015
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出版者 | 島根大学農学部
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出版者別表記 | Shimane University, Faculty of Agriculture
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資料タイプ |
紀要論文
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部局 |
生物資源科学部
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