本研究は,中学2 年生,高校2 年生,大学3 年4 年生を対象として,親しい友人との関係の持ち方について,相互理解の友人関係と同調する友人関係の2 側面から検討した。その際,実際にとる行動,そうしたいという欲求,まわりの人が一般的にとっていると思う他者認知の3 つの観点からこの2 側面を検討し,その発達的変化,および,行動・欲求・他者認知の関連性を検討した。その結果,学校段階の進行とともに,相互理解の友人関係は,行動・欲求・他者認知のいずれにおいても強くなり,同調する友人関係は,行動・欲求・他者認知のいずれにおいても弱くなっていた。また,他者は自分よりも相互理解の友人関係を行っておらず,同調する友人関係を行っていると認知されていた。相互理解の友人関係に関する行動は,学校段階の進行とともに,他者認知の影響が小さくなり,自分の欲求の影響が強くなることが明らかとなった。同調する友人関係については,中学生では欲求の媒介によって他者認知が行動に影響を与えているが,学校段階の進行とともに他者認知の影響はなくなり,自分の欲求に基づいて行動することが明らかとなった。青年期において,他者認知の影響を受けつつも,それが弱くなり,自立した友人関係の構築をしていく過程が論じられた。