1971年末に現れた最初のマイクロコンピュータMCS・4以後約10年,各界に与えたマイクロコンピュータの衝撃は大きく,研究室を含む各職域へのパーソナルコンピュータの進出が著しい昨今である。計算機を利用する立場からいえぱ,べ一シックのような言語を理解し,ソフトウエアを学習するだけでも十分に広い分野での活用が期待できる。しかしながら,ひとたび自らの手でマイコンシステムの拡充や新しい周辺機器の接続等を考えた場合,インタフェースなどハードに関する基本的知識が必要となってくる。
一方,電子計算機の教科書には,基本的計算機の機能が記述されてはいるが,初心者が計算機の基本を真に理解するには机上の学習のみでなく体験学習が大切であり,理論と実際を結び付ける装置が必要となってくる。
また,マイクロプロセッサから出発したマイコン学習装置は種々市販もされているが,CPUの中身にまで踏込んだより基本的な学習教材は少ないようである。
ここでは後者の立場に立ち,現在,国民一般のものとなってきたコンピュータのしくみを,ハードの面からも理解できるよう,富崎新氏のATOM−8を起点とし,より広い用途に供しうるよう拡張した基本的計算機を設計製作したのでこれについて報告する。