Memoirs of the Faculty of Education. Literature and Social science

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Memoirs of the Faculty of Education. Literature and Social science 22 2
1988-12-26 発行

現代日本の地域スポーツ振興政策

Policy on the Promotion of Community Sport in Modern Japan
Nakayama, Masayoshi
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 戦後,スポーツをめぐる社会的状況は大きく変化し,全国的な競技会だけでなく,一般市民のスポーツに関する活動の振興が政治的施策において図られるようになった。それは,ただ単にスポーツが生活を充実させる上で重要な意味を持つことが認められるようになったからだけではない。スポーツは,社会の変動の中で生じる多様な社会的諸問題に対処するための手段としてみなされているからでもある。このような現実において,スポーツ政策研究は,スポーツ振興をめぐる理念や実践的課題の側面はもとより,社会におけるスポーツの存在構造やその意味を検討する上でも欠くことのできないものとなっている。特に,近年,地域社会におけるスポーツの振興に関する政治的措置は一層強められるようになってきている。それは一方で地域社会におけるスポーツの発展を促すとともに,他方ではこの政治的措置が進められる中でスポーツはまた政治的目標達成のシステムの中に組み込まれるようになり,かつそれとの関遵において地域社会におけるスポーツの構造にも変化が生じてきているようである。それに,国民スポーツや大衆スポーツと言われるものも,コミュニティ・スポーツと同様,基本的にはそのいきつくところ地域社会におけるスポーツの問題として捉えられよう。このようなことから,スポーツ政策の中でも地域のスポーツと政策の問題を解明していくことが要請される。そこで,本稿ではその一環として,まず戦後のわが国における地域のスポーツに関する政策について考察し,可能な範囲で,それがわが国社会の状況の中でどのように定立され,展開されてきたのかを明らかにしようとした。それにあたり,国レベルの施策のみならず,地方自治体のそれについても研究の視野に入れている。それは,地域のスポーツに関する政策は国のレベルにおいて統一的に決定されるが,その具体的な展開にあっては,地域独自の意思の決定ないしは選択の論理が内包されているという考えに基づいている。