本研究は,どのように問題を解決してよいかわからない子供に対して,問題解決につながりうるヒューリスティックスを「解き方がわからない問題を解決するために,解決への漠然とした方向性をもって,具体的な解決行動を起こすための方略」と定義し,中学校2年生がヒューリスティックスに対して,どのような意識をもっているのかを質問紙によって明らかにした。また,図形の領域において,ヒューリスティックスの育成を目指し,多様な解法のある問題において「解法を分類する活動」や,解答を発表するときに「思考過程を共有する活動」を行い,これらを実践することによる効果を検討した。その結果,これらの指導を行うことによって,既習事項と関連付けることや文字を用いることなどに関する意識が高まる効果が見られた。