著者は,さきに,”けん引点の高さ,けん引角度およびけん引量の変化が役畜の静姿勢に及ぼす影響について”の研究を発表したが,本研究は,前者の実験が行われた翌日および翌々日に,同じ実験動物を用い,同様なけん引条件を与えて行つたもので,前者ではけん引条件の変化に伴う,停立時の姿勢の変化を追究したものであるのに対し,後者では同じ条件下の前,後肢別負重量ならびに四肢負重総量の変化の追究を試みた。そして,これらけん引条件,姿勢,ならびに肢の負重量との三者の関係の検討を通じて,けん引理論の解明と,合理的なけん引方法およびけん引に適した役畜の体型の究明などに資せんとするものである。 本報告では,与えられた紙面の関係上から後者の実験研究の関係の報告にとどめ,両者の実験成績の綜合的な検討は次回の報告において行いたいと思う。
なお,本研究は,昭和30年,京都大学農学部において上坂章次教授の御指導の下に,加藤正信助教授ならびに入谷明特別研究奨学生の御協力をいただいて実施したものであり,また,川島良治助手,大学院学生の方々ならびに研究生の方々の御助力をいただいた。ここに深く感謝の意を表したい。