隠岐の島後は,さまざまな形の大小の湾にその縁を切りこまれ,凸凹した急崖は,明媚な景観をなしている。また,これらの湾は,堆積環境の違いが底質にどのように反映しているかを観察するのに格好の場である。島後の加茂湾には本学文理学部付属臨海実験所があり(第1図),海洋および堆積関係の調査に都合がよい。これらの利点を生かして,地学教室では1976年から地学科2年生の堆積学実習の一環として,島後周辺の底質調査を行なってきた。 隠岐周辺海域の底質の資料が少ないこと,および1976年度と1977年度の二年間の調査結果がまとまったのでここに報告する。なお,この実習に参加し,各種の計測を分担した者は以下の通りである。
1976年度 安達直隆,内田澄夫,内田親雄,熊田 彰,多田秀利,広田清治,藤田勝利,
村山保,安岡はやお
1977年度 小石川晃,入川泰樹,赤嶺武子,加藤敦志,久保容猛,下田孝幸,杉原伸司、
田辺 徹,中島譲二,西尾 誠,藤原直人,向谷宏治
本論に入るに先だち,臨海実験所梶村光男氏には調査器具の貸与をはじめいろいろの便宜をはかって頂き,また同所の斉藤 博氏には,調査に当って操船をはじめドレッジその他のご協力を頂き,厚くお礼申し上げる。また,1977年度は化学教室の奥村 稔,臼井恵次,片岡富士夫の3氏が同船し,水質調査を行なったが,その資料の一部を本論文中で使用させて頂き,深くお礼申し上げる。