本稿では、中山間地域に指定されている島根県雲南市を研究対象として、これまで子どもの貧困をめぐる議論の中であまり取り上げられることの少なかった中山間地域農村部の子どもの貧困化に焦点を当てて、基礎的統計を提示しながら、「援助の対象とするべき子どもは誰かとその大きさ」を明らかにした。これに併せて、「見えにくく捉えづらい子どもの貧困」の実態把握の在り方を検討した。雲南市では、子どもの貧困の状態が見えにくく捉えづらいという特徴が明らかになった。農村部の子どもの貧困対策を推進するためには、被保護層より広い貧困層を対象に実態把握を行い、必要な支援策を検討する必要があることが示唆される。