法律上、我が国と同様に、夫婦が異なる氏を用いることを認めないドイツにおいて、近々、このいわゆる夫婦別姓の議論に終止符が打たれる見通しである。四月二二日、新氏名法(neues Namensrecht)に関するおおまかな限定条件の合意が連立与党(CDU(キリスト教民主同盟)/CSU(キリスト教社会同盟)およびFDP(自由民主党))の議員団によりえられたことが、満面に笑みをたたえたCDUおよびFDP法政策担当スポークスマンにより報告された。夫婦別姓の容認である。論議の直接の契機は、一九九一年三月、連邦憲法裁判所が婚氏に関する民法第一三五五条二項の規定が基本法第三条二項の謳う男女同権の原則を配慮した新たな立法の余地があることを協調したことにある。
報道により明らかにされた点を従来の扱いおよび先の憲法裁判所の決定以降の議論の推移とを比較しながら、簡潔にこれを紹介しよう。