第二次臨時行政調査会が行政改革の主要課題として取上げている問題に、国鉄・電電公社・専売公社の改革がある。それらについて民営化、第三セクター化が提言される背景には、行政の減量化、守備範囲の明確化、経営の効率化、民間活力の活用、といった主張がある。
同様な状況は、地方自治体における行政改革の論議においても見られる。そこでは、土地開発公社・供宅供給公社等の現状が、自治体財政逼迫に関連して取り上げられ、その経営の非効率性、杜選さが指摘される。他方では、駅前開発や国鉄赤字線肩代わり等の目的で、第三セクター方式が再び着目されている。また、「新・経営時代」に「がんばる自治体」として、公営施設の管理運営を公社に委託する動きが注目を浴びる状況もある。
本稿では、地方公社をめぐるこのような動向を考察する前提作業として、島根県における地方公社(県レベル)の現況を検討するものであり、全国的にみた地方公社の概況、従来から指摘されていた問題点の確認を踏まえ、県の公社の全体的現況の概観と個別的検討とを行うこととしたい。