島根大学論集. 人文科学

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島根大学論集. 人文科学 16
1966-12-25 発行

英語「動詞+目的語」構造の分析

国広 哲弥
ファイル
a006016h012.pdf 1.83 MB ( 限定公開 )
内容記述(抄録等)
次に列挙する「動詞+目的語」構造の動詞と目的語との意味関係は直観的に見てそれぞれ異なって感じられる。末尾の括弧に仮りに名称を付しておく。
(1)plant trees (ordinary object).
(2)run a train (causativization).
(3)pay a driver (deletion).
(4)hang the wall with pictures (hypallage)
(5)tap one's fingers on the table (instrumental object).
(6)pour a glass full (receptacle object).
(7)dig a hole (object of result).
(8) shoulder one's way through a crowd (stratification of meaning).
(9) sleep a sound sleep (cognate object).
(10) pass the gate (local object).
(11) hear music (source of stimulus).
 動詞と目的語の意味関係は非常に複雑であって,これは決して網羅的なものではない。この意味関係の相違は,あるものは文法的に,あるものは意味論的に解明されるものであり,原因は様々である。従来の伝統文法のやり方では,このような複雑性を追求する一方で,裏にひそんでいるかも知れない単純な原理を明らかにする方向への考察に乏しかったように考えられる。本稿は,上の(1)から(8)までについてそのような方向への考察を試みるものである。
 Otto Jespersenは A Modern English Grammar ,III,ch,XIIにおいて‘ObJect’の問題を扱っており,割合に明瞭なものとして‘object of result’,‘cognate object’,‘instrumental object’‘causative’の名を挙げながら,あっさり次のように告白している:
on the whole we must say that on account of the infinite variety of meanings inherent in verbs the notional(or logical)relations between verbs and their objects are so manifold that they defy any attempt at analysis or classification(§12.1_2).
 Jespersen の告白通りに,そこに‘ordinary objects’として一括して挙げられている用例は種々様々である。しかしなお一段の分析整理の余地があると考えられる。