島根大学論集. 人文科学

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島根大学論集. 人文科学 15
1965-12-25 発行

デカルトとフィヒテの「自我」に就いての一考察

岡林 克己
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内容記述(抄録等)
 惟うに古代の思惟に、とって最高の実在性を、もつものは、実体の Kategorie であり、これは、また形相であった。−生成に対して存在に優位を与えていた−そこには、自然と合一して観想的に完全な存在にならうとするギリシャ人的理性人の相を、我々は、Aristoteles を通じて観て来た。更に、本質的様式を志向する Aristoteles 的 schola 的存在論を荷う Thomas Aquinas の中世の存在論を経て、如斯、存在論の伝統に対して、今や、我が能動的に働いて、存在を変革する−存在から働きかけられ、存在に従い乍ら、存在を通じて、自已が、存在を、新らしく作る、対自然の方向に於ける自由を実現し、人間を自然の主人、支配者たらしめようとする Homo faber、homo Sapiens としての近世・理性人の存在論 特に Descartes と、Fichte に入ることとなる。