Hartshorne,R.,Jones,S.B.らによる政治地理学の機能的アプローチは,国家ないし国土を基礎単位としてきたこの分野の流れを,「政治」のにない手それ自体を軸とする方向に転じてきた。Hartshorne,R.は,State ideaないし"raison d'etre"に注目したが,求心力centripetal force,遠心力centrifugal forceの概念も,中間項としての主体の行動様式とのかかわりにはふれていない。Jones,S.B.は,State-ideaをpolitical-ideaにたかめ,Political-idea-Decision Movement-Field-Political Areaという連鎖Chainとしてとらえる。Movementは,GottmannのCirculationに相当すると考えられるが,ともにphysicalには交通・通信・人口移動など,socialな側面では,住民間の意志疎通,住民の自治体行政との間の円滑な対応の有無などをふくむ。しかし,主体の意志決定のあり方については,多くの課題をのこしてきた。本稿は,これらの主体の行動,意志決定,選択について,さらにGottmannのいうiconographieの側面にもふれる。