島根大学法文学部紀要. 文学科編

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島根大学法文学部紀要. 文学科編 18 1
1992-12-25 発行

わが国の都市機能の類型構造(1) : 国調職業別人口による

Classify of Japanese Cities(1) : by Employe persons of Pop. Census
杉元 邦太郎
ファイル
a003001801h008.pdf 3.58 MB ( 限定公開 )
内容記述(抄録等)
1985年国勢調査の全国市別・職業別人口を使用して全国諸都市の機能分類をおこなった。85年現在の市数は651市であり,これに東京23区を加え674市区について分類を行ったものである。
 筆者はすでに1959年に「過大都市化構造の考察」,62年「職業構造よりみた日本の都市機能類型」で前駆的考察を行ってきた。前著においては,当時すでに巨大都市化しつつあった東京が,どのような機能を備えることによって巨大化してきているかを職業別人口によって東京区部,大阪市,名古屋市,鳥取市,新発田市(三大都市については大都市統計年報,他は国調)について概観し,すでに東京においては現業部門(特殊技能工・生産工程従事者および単純労務者)と非現業部門(専門的技術的,管理的職業および事務従事者−ホワイトカラー族)の分離が明確となり,非現業部門の集積が東京の巨大化の第一原因であること,その背後に東京への事業所とくに本社機能の集積・移転(大阪等から−すなわち中枢管理機能の東京一元化:一極集中)があることを予察的に分析し,都市施設整備の不十分さとの関係で東京を「過大都市」と規定した。
 また後著においては前著の問題意識をもとに,1950,55年の国勢調査を利用して当時の全市について職業別人口の千分比を算出し,その度数分布表から全国各市を,①ホワイトカラー卓越都市,②商業機能都市,③サービス業機能都市,④交通業機能都市,⑤鉱業機能都市,⑥工業機能都市,⑦標準型機能都市の7機能都市類型化を行った。
 当時,職業別人口によって都市機能分類を行ったものとしては,鹿又,磯村の分析があるのみであり,その後今日にいたるまで個別に各市の職業別人口の利用は行われているが,全市にわたる機能分類を行ったものはない。筆者も関心が他に移り以後の追跡分析は行っていない。
 なお都市機能分類についての研究史的分析は本論文の目的ではない。先人の総括を活用されたい。