社会システム論集 : 島根大学法文学部紀要社会システム学科編

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社会システム論集 : 島根大学法文学部紀要社会システム学科編 4
1999-12-25 発行

大都市圏住民の地方移動意識

People Escaping the Metropolitan Areas in Modern Japan
小林 久高
ファイル
a010004002.pdf 1.23 MB ( 限定公開 )
内容記述(抄録等)
過疎地の人口の社会減少は88年度の87,400人から94年度の33,173人へと確かに小さくなってきた。しかしながら、過去の社会減少の後遺症ともいうべき高齢化の極端な進行に伴う自然減少によって、若年層の都市への移動はかつてよりもさらに深刻な問題に在ってきているともいえる。
一方、都市においては新たな事態が生じている。すなわち、都会人の一部の中に、ある種の「田舎志向」が生まれて来ているのである。脱都会・田舎移住関係書籍の出版状況は、1980年の3冊から93年の28冊へと着実に増大してきている。地方の町村においては、こういった動向に対応すべく、Iターン者の受け入れなどを新たな地域活性化の方策としているところも多い。
本稿は、そのようた状況を踏まえ、大都市圏から地方へ移動しようとする人々は、いかなる社会的属性と価値観をもっているのかを明らかにしようとするものである。分析に主として用いられるのは1991年3月に行われた「国民生活選好度調査」(経済企画庁)のデータである。この調査は「東京・大阪の魅力、地方の魅力」というテーマの下に行われたものであり、調査対象は、東京圏(東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県・千葉県の市街地およびその近郊)と大阪圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県の市街地および近郊)に居住する20歳以上の男女個人である。層化二段無作為抽出法によって3,600サンプルが抽出された後、留置法で調査は進められ、最終的に2,585名(回収率71.8%)の回答が得られている。